生きてるだけで精一杯。
SS戦闘記録
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のぼうの城 2007.12.03.小学館刊。著:和田竜。
粗筋──
 歴史に名高い忍城攻防戦を、余りに茫洋とした性格ゆえに「でくのぼう様」略して「のぼう様」と呼ばれた守将・成田長親を中心に描く。
 本屋で「忍びの国」とセットで熱烈に売り込んでいたので、ちょっと興味を持って購入。
 忍城攻防戦をネタにした小説には、風野真知雄や岩井三四二と云った、なるほどマスコミには知られていないが歴史小説読みなら大抵押さえている小説巧者の先達による作品が既に出されており、題材に目新しさは感じられない。とすると、後はキャラクターの造形で勝負するしか無いのだが、この作品は主人公の成田長親を不器用で何の才能も無いながらも百姓や荒くれ武者に妙に好かれる人徳者に仕立て上げ、上手い具合に「日本人に愛される主人公像」を描いている。特に百姓が城に入る事を決意するシーンや、かぞうが堤防を崩すシーンは、本人が場面に登場していないのに逆に主人公の存在が大きく感じられた。この辺の虚像造り(アイドルデビュー)のやり方の上手さは、作者のテレビドラマ脚本家出身と云う経歴に依るものであろうか、新人とは思えない匙加減で非常にgood。
 脇を固める登場人物もなかなか味が有り、真面目な正木丹波、豪放な柿崎和泉、そして何よりワザと忍城を開戦に導く潔癖症の石田三成とか、読んでいて引き込まれる人物ばかりでした。

 ただ、この本も北条氏の小田原籠城を下策とし、富士川突出を上策として居るのは非常に残念。
 以前mixiの方でも書いたのだが、既に九州で島津氏が秀吉に野戦を挑み、一度は戸次川で完勝したにも関わらず次第に追い込まれ、最後には白根坂で決死の夜襲を試みるも敗走している。戦国最強を謳われた島津氏でさえ最後には降伏せざるを得なかったのに、此処二十年ほど黄瀬川や郡内で火事場泥棒くらいしかして来なかった北条風情が合戦に打って出るなど、おこがましいにも程が有ると云うものであろう。
 寧ろ、九州征伐では兵站が崩壊寸前だったと云う話もあるので、その風聞に賭けて籠城に決したとしても無理からぬ事と思うのだが……ま、小説だから余り固い事を云う積りもないが、偶には自分が執筆する合戦以外の小さな合戦も見てみようよ。何か新しい発見があるかもよw
総評:取り立てて特徴が有るわけではないが、普通に読み易く、また最後まで面白い。信長秀吉家康の伝記小説からもう一歩ランクアップする際の入口としては最適かも。評価は☆☆☆。同じ作者の「忍びの国」も読んでみるか……。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



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