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夕陽の梨 2008.05.02.小学館刊。著:仁木英之。
粗筋──
 舞台は唐王朝末期の中国。朝廷の腐敗により各地で反乱が頻発する時代を背景に、貧農から反乱軍きっての勇将に成り上がった朱温──即ち後の皇帝・朱全忠──の若き日々を描く。
 第12回歴史群像大賞最優秀賞受賞作。第13回最優秀作品の「ぼっちゃん」が意外と面白かったので、興味が湧いて買ってみた。

 歴史上では、朱温は当初黄巣の乱に属しながら後に裏切って朝廷に付いて「全忠」の名前を拝領し、更に反乱を起こして唐を滅ぼした反覆常無い「梟雄」。ライバルの李克用が最後まで唐に忠誠を尽くし、更に自分の精鋭騎兵「鴉軍」を率いて自ら縦横無尽に斬りまくり、おまけに元祖「独眼竜」(伊達政宗は彼にあやかって名乗った)と日本人好みの英雄なので、どうしても朱全忠は彼と比較されて割を喰ってしまいがちである。
 そんな朱温を描いた作品とは一体どんなモノか? 若干の期待と、単なる殺伐としたピカレスクや、人物描写の平板な塚本・谷辺りの駄作に陥るのではないかと云う大いなる不安を抱きつつ読んでみたのだが……結論から言うと、結構良かった。

 朱温の性格を変に飾らないプレーンなキャラとし、感情移入を誘う辺りはなかなか良かったと思う。周囲の人物も優しい姉、力強い兄や謎めいた軍師と云う感じで嫌み無く、それだけに、朱温が姉、兄、恋人と大事なモノを守れずに次々と喪って行き、最後には冷酷な武将となるラストは切なかった。唐末五代の時代を開いた一種の怪物を、怪物として描くのではなく怪物になって行く過程を丁寧に誤魔化し無く描く本作は、成程歴史群像大賞最優秀賞に相応しい逸材と云えよう。
総評:さて、これからどうやって黄巣を裏切るのか? 李克用とはどう戦うのか? 是非続きが読んでみたいとは思う反面、怪物になり果てた朱温を描いてみても本作程の面白さは味わえない気も。発展性の不足を踏まえて評価は☆☆☆だが、万一此処から繋げられたら神。評価も☆☆☆☆☆に修正するにやぶさかではないのだが。

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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



コメント
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はじめまして。
こちらの記事にトラックバックさせていただきました。
丁寧でよかったですよね。

トラックバックなどいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
2008/09/15(月) 03:46:33 | URL | by藍色 (#-) [ 編集]
TB有難う御座いました。
早速返信致しました。
2008/09/15(月) 18:37:50 | URL | by軍曹 (#mQop/nM.) [ 編集]

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