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SS戦闘記録
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忍びの国 2008.05.30.新潮社刊。著:和田竜。
粗筋──
 時は戦国時代。小豪族が割拠する伊賀で下山家と百地家が対立し、百地三太夫は腕利き忍者・無門に下山家の勇士・次郎衛門を殺させる。次郎衛門の兄・平兵衛は無門と敵討を許さぬ父を恨み、伊勢に逃れて織田信雄に伊賀攻めを依頼する。しかし、それは百地三太夫が立てた「伊賀忍者PR作戦(伊賀を信長に攻めさせてこれを撃退し、伊賀忍者の名声を高めて大いに諸大名に売り込む)の一環で有った……。
 小官もそれなりに多くの歴史小説を読んで来たが、これほど織田信雄がカッコイイ作品はこれまでに無かったと思う。正にノブカツ・オブジイヤーである。

 帯のストーリー紹介等を読むと、「伊賀に信長が侵略して来たのでスゴワザを持った忍者が華麗に撃退するyo!」と云う、如何にも天正伊賀の乱を題材とした在り来たりの忍者小説と思いがちだが、実は天正伊賀の乱に入る前の信雄による伊賀攻めが舞台。原因も「信長の狂気」や「中世的な権威への挑戦」と云った従来の説ではなく、何と伊賀衆による挑発だったりと、歴史小説通でも、と云うか歴史小説に詳しければ詳しいほど意外な展開にのめり込むこと必至の内容である。
 その勢いは最後まで止まらずにどんでん返しを繰り返し、終盤の「金狼は全国に散ったのだ」から始まる一節に不気味な読後感を感じたり、信雄と信長の対面にちょっとじーんときちゃったりと全く飽きさせません。

 登場人物も皆特徴的で、ビョルンっぽい無門やら狡猾な文吾、策が外れて慌てたり、策が的中して調子こいて滅ぶ百地ら上忍ズetcの忍者が大活躍。山田風太郎忍者や池波正太郎忍者みたいな超人忍者も良いですが、小官的にはこんな人間的な忍者の方が好きだったり。
 また、忍者以外の人物も特徴的で、冒頭に挙げた、無能で馬鹿だけど愛すべき信雄、最初は信雄に反抗しながらも最後には彼を認めた豪勇・日置大膳、そしてツンデレお国と彩り豊かです……特に日置! 忍者小説なのに武士が忍者圧倒しちゃったらダメだろw 全くkyなナイスガイだぜ。

 ただ伊賀攻め終盤、頻繁に場面展開をし過ぎてシーンごとの重みが薄い感じがしました。次回はこの辺の構成に気を付けたらいいんじゃないでしょーか。まぁ、この完成度を前にしては、こんな意見は蛇足に過ぎませんけどね。
総評:正直、「のぼうの城」の時には、「器用な新人作家が出て来たなぁ。最近の歴史小説には生きのいい新人も居ないし、ここはいっちょ褒めてのばしてやっか!(ぉ」くらいの気持ちで甘めに採点をしていたのですが、これなら安心して知人友人にも推薦出来そうです。
 評価は文句無しの☆☆☆☆☆。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



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