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SS戦闘記録
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罰当て侍 H18.06.20.祥伝社刊、祥伝社文庫所収。著:風野真知雄。

粗筋──
 赤穂事件から31年後の江戸が舞台。赤穂浪士の生き残り・寺坂吉右衛門も70歳となり、とある寺院の寺男として安楽に余生を送って居た。しかし、寺に出入りしていた少女おさきの父親・喜兵衛が不審な事故死をした事から、事態は急転直下。喜兵衛の死因を探るべく、喜兵衛が見たと云う「逆さ釣りの死体」の秘密に迫る……長編書き下ろし時代小説。

 風野真知雄センセイは、「水の城」とか「奇策」とか、歴史小説ではかなり面白いのを書いて居るので、時代小説でももしや? と思って購入したのですが……うーん、この作品にはちょっとがっかりです。
 題材は「老いた英雄が少女の為に再び剣を取る」と言うオーソドックスなもので、藤沢周平テイストの漂うよさげな設定なのですが、中味は問題山積です。

 まず、主人公が定まって居ないのが最初にして最大の問題です。
 作中には、老いた吉右衛門と対を為す存在として、孫の貫悟郎が登場するのですが、これがまた気風闊達で剣術も天才的に優れたナイスガイなんですな。でもって、そいつが問題をさくさく自力で解決し、更にラストバトルでも祖父を越える重要な役割をはたしちゃうんです……おいおい、なら最初から貫悟郎を主人公にすればえーやんw(まぁ、そうなると売上は減少するかも知れませんが

 次に、判じ物が余りに貧弱なのも問題です。
 何故死体を態々逆さ釣りにしたのかの理由が「気持ち悪い」ってのはどーなのよw アンタら、仮にも人殺しだろーが。それも最後に、悪役が確認するように「だって気持ちが悪いじゃないですか」とか言い出すし……時代劇におけるトリックは出尽くした感が有るとは云え、これはあんまりです。

 そして、上杉が送って来た暗殺者が弱過ぎるのも考えものです。
 物語の最後に、それまでの筋立てとは関係の無い暗殺者が登場! と言う展開は正に藤沢周平の「用心棒日月抄」と同じなのですが、用心棒日月抄は短編集だからこそ許されたのであって、書き下ろし長編のコレで同じ事をやっちゃうと、単なる間延びした展開にしかなりません。少なくとももう一人、真ん中くらいで出した方が良かったんじゃないかと思います。

 全体に、あれもこれもと盛り込み過ぎて焦点がぼやけているような気がします。
 剣客商売をパクるなら貫悟郎をもっと出す、用心棒日月抄をパクるならもっと事件に凝る、歴史小説を書きたいなら貫悟郎は引っ込めるetc、もっと何処か一点に拘りを持って書いて欲しかったです。
【総評】:以上、ラノベで舌が肥えちゃった小官は辛い点数を付けてしまいましたが、電車の待ち時間にぶらりとキヨスクに立ち寄ったサラリーマンが「何か適当な時代劇を一冊」と云う時(即ち、祥伝社文庫の本来の購買層が購入する時)には、こうした肩の凝らない文庫が必要とされているのでしょう。そう云う意味では、ニーズに適合した一冊だと思います。

 お勧めはしませんが(ぉ
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



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