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浪々を選びて候 2003.09.10.講談社刊、ハードカバー。著:岩井三四二。

粗筋──
 美濃斎藤家の奉行・日根野弘就は宿敵織田信長を追い詰めるが、寸でのところで取り逃がしてしまう。数年後、勢力を増やした織田信長は美濃を占領。弘就は信長に仕える事を潔しとせず、今川家の朝比奈泰朝を頼って落ち延びる。だがそこで弘就を待っていたのは、低い評価、愚劣な派閥闘争、そして信長の脅威と云う苦難の道程であった……。

 静岡市の本屋で岩井三四二フェアをやっていて気になったんですが、何分聞いた事の無い作家なので、此処はひとつ図書館で試しに一冊読んで見ようと云う事で、この「浪々を選びて候」を借りて来ました。

 先ず、主人公にマイナー武将の「日根野弘就」を据えた着眼点の良さは素晴らしいと思います。ただ、主人公以外のキャラクターの造形は皆無に等しく、一族も弘就の苦心を他所に徒食していたかと思えば就職試験では活躍し、女を取り合ってその解決策として弘就の側室にしたら家中が分裂するしとどうも一貫性が有りません。途中で弘就と対立して袂を別つ異母弟・弥次右衛門とかをもっと最初から個性的に描いて置けば、別離のシーンも再会のシーンももっと盛り上がったと思うんですけどねぇ……。

 ストーリーの方は、掻い摘んで話すと、自分を特別なヤツだと信じて流浪の旅を続けて来た弘就が、最終的には織田信長に仕え、自分程度の武将は沢山居るんだとがっくりし、織田家で世渡りに汲々として過ごすが、最後に乱世の臭いをかいで思わず頬を緩めるシーンで終了と云うもの。途中何回も負け戦を重ねて浪人するので直接的なカタルシスは少ないですが、ラストシーンはちょっと独特の味わいが有っていい感じです。

 また亡命先に我らが掛川城主・朝比奈泰朝を選んでくれたお陰で、掛川城の戦いがクローズアップされたのもポイントが高いです。外交にも戦争にも才能が無い忠義だけの人、と云う朝比奈泰朝の描写に異論が無いわけじゃない(長篠の合戦で内藤昌豊を討ち取ったとも云われている)ですが、「功名が辻」でもスルーされそうな掛川を取り上げてくれただけでも地元民としては嬉しい限りです。
【総評】:面白い視点を持った作家さんだと思いますし、これまでノーマークだったのが悔やまれます……が、残念ながら小官としてはハードカバーで買うほどの魅力を感じられませんでした。図書館or文庫化待ちです。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



コメント
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日根野備中の「自分探しの旅」ですかあ。
着想と筋立てはいい感じですね。図書館を探してみますか。
2006/08/24(木) 22:38:05 | URL | by黒木竜 (#-) [ 編集]
 着想とプロットは良いんですが、「林佐渡も丹羽長秀も身一つで遠国に追放された」とかさらっと云っちゃうので、今ひとつのめり込めないんですよねー。買うほどじゃないんですよ。
2006/08/24(木) 23:15:18 | URL | by軍曹 (#mQop/nM.) [ 編集]

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