生きてるだけで精一杯。
SS戦闘記録
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殿様の通信簿 2006.06.30.朝日新聞社刊。著:磯田道史。

概要──
 元禄期の大名の評判を記録した隠密の記録(ではないかと云われている)「土芥寇讐記」を底本に、徳川光圀・浅野内匠頭・池田綱政・前田利常・内藤家長らの評判を記し、江戸期の大名の実態を活写したエッセイ集。

 別名、前田利常一代記w ……いやまぁ、前田利常については「大坂の陣で出撃前に遅れた愛馬を斬って生贄にした」とか「鼻毛を延ばして馬鹿殿を装った」と云う有名なエピソードしか知らなかったので、十分に楽しめはしたのですが。折角「土芥寇讐記」と云う面白い本を紹介する機会を得ながら、大名が数人と言うのはちょいと寂しいような気がしないでも無いです。

 全体的な内容の方は、学術に偏らず通俗に阿らず、なかなか面白く且つ為になる(?)ものでした。
 特に、豊臣政権下における前田利家の異様なカリスマ性を「信長流の継承者だから」と位置付けた辺りは非常に面白かったです。いやー、ぶっちゃけ手取川の敗走とか賤ヶ岳の裏崩れとか、参加した戦といえば不名誉な戦ばかりの前田利家が何故あれ程に武将として持て囃されたのかさっぱり分かりませんでしたが、事有る毎に「総見院様の戦は……」と云って加藤や福島と云った官僚軍人に影響力を発揮していたから、名声が高かったのですな。納得w あと、前田利家が矢鱈北条氏の一族を家臣に加えたのは、対家康用の調略作戦カードとして使用する為だったと云うのも知りませんでした。長年の疑問が氷解しました。
 また、浅野内匠頭が実は「ヤバい」人だったと云うエピソードも面白かったです。執拗な「首取り」への執着を、過去の大坂の陣での先例に基いたものと考える見方はなかなか秀逸でした。
【総評】:表題から想像される「馬鹿殿を集めて封建制を腐して見ました」と云う類の半可通な本ではなく、名君と云われる利常の意外に残虐な一面と暗君と見られた綱政の意外に優しい一面を併記して居たりして、特定の立場に偏る事の無いなかなか良質の歴史教養書でした。値段分の価値は有る本だと思います。評価は☆☆☆★★。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



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