生きてるだけで精一杯。
SS戦闘記録
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雷神の筒 2006.11.30.集英社刊、ハードカバー。

粗筋──
 尾張の豪商生駒家に仕える武士・橋本一巴は、商用で出掛けた堺で「鉄砲」に遭遇。大枚をはたいて買い込み、それが機縁で織田信長の鉄砲師範となり、更に鉄砲隊長として尾張・美濃を転戦する。しかし、鉄砲を天下泰平の道具と考える一巴は、次第に覇道を唱える信長と対立を深めていく事に……。

 「松本清張賞受賞者第一作」と大書された帯に惹かれて購入……尤も、果たしてその称号に相応しい作品かと問われると、正直微妙でしたが(^^;

 先ず、主人公の造形に面白味が有りませんでした。性格は清廉無欲、只管尾張の自領に拘るマイホーム主義(その癖、嫌な事があると唐突に生悟りして「やっぱイラネ」とか言い出す)、鉄砲は最初から百発百中、オマケに奥さんは美人と云う完璧超人では、どー足掻いても感情移入出来ません。寧ろ我儘で身勝手で、現実主義者の信長の方が余程人間的であり、お陰で信長が一巴に向かって「お前のしたり顔がウザいw」と云った時には、読者としては一巴に感情移入して「(´・ω・`)ショボーン」とならなきゃ行けない所を思わず「信長(・∀・)GJ!」とひとりごちてしまいました。
 また、その他の場面でも兎に角「一巴は正しい」的な描写が多いので、一巴のライバルで、人格も腕前も一級落ちるが、金も戦争も大好き! と言い切る雑賀孫一や、信長に必死でしがみ付き、家の安泰を図る息子の方が余程魅力的に思えました。

 もう一点、折角「鉄砲」と云う時代の最先端を行くアイテムを持ち出しながら、「平和の為の聖なる祭器」と位置付けて、作品として活用しなかったのも、この作品を今ひとつ面白味の無い作品にしているんじゃないかと。時々狙撃銃や大口径銃、二つ弾が出て来ますが、それも出て来ただけって感じで、作品のメインはそ後の一巴の内省と一人語りですしねー。矢張り、此処は嘘でも良いから鉄砲戦術の発展史を交えた派手な合戦や、超人的射撃技法を交えたガンカタが欲しかったです。
【総評】:眼の付けどころは面白いと思うのですが、全体に真面目過ぎる印象を受けました。現代のイデオロギーを主人公に仮託した結果、主人公のキャラクターが縮こまってしまったのが原因かと思われます。
 折角橋本一巴なんて謎の人物を主人公に据えたんですから、もっと伸びやかな性格にしても良かったのに……現代人で「戦争大好き!」ってのは確かに問題ですが、戦国時代人でこんなに平和主義的な人もちょっとなぁ……文章や会話のテンポ、脇役の造形は悪くなかったと思うので、次回作に期待です。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



コメント
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どーかんがえても、孫一のほうが主役っぽいですねえ(笑)
その孫一を見るために読もうかなとちょっと真剣に考えてしまいました。
2006/12/04(月) 22:57:35 | URL | by黒木竜 (#-) [ 編集]
 孫一は最後までいいキャラでした。
 ただまぁ、孫一を主役に据えた作品は、司馬御大の「尻喰らえ」と云う先行作品を筆頭にそこそこ出回って居て、今更新人作家が割り込む隙間が無いんですよねー。気持ちは解らなくもなかったりw
2006/12/05(火) 22:21:21 | URL | by軍曹 (#mQop/nM.) [ 編集]

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