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SS戦闘記録
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絵解き 雑兵足軽たちの戦い 2007.03.15.講談社刊、講談社文庫所収。著:東郷隆/イラスト:上田信。

概要──
 戦場で最多数を占めながら、なかなかその実情が明らかにならない下級戦闘員「足軽」。果たして彼らは封建勢力によって動員された哀れな貧農なのか、それとも旧日本軍ばりの悪役なのか……? ミリタリー系歴史考証においては他の追随を許さない東郷隆氏が、豊富な資料に基いてその実情に迫る!

 同じく講談社文庫所収の「絵解き 戦国武士の合戦心得」に続く「絵解き」シリーズ第二弾。
 KOEIの投稿雑誌「光栄ゲームパラダイス」に掲載されていた連載記事をベースにしていた前作よりも、幾分かハードな内容になっている(ネオロマンス載っけてる雑誌で「戦いと売春は切っても切り離せない」なんて書けませんからw)

 収録内容は、ずばり足軽の生活から実際の合戦での活動まで全て。特に興味深かったネタを箇条書きにすると……

■「朝倉宗滴話記」に見える足軽の使い方
 出陣の際には必ず雨を想定しろ、小柄な者や初心者には弓を、弓の下手な者には細身の槍を持たせろ、陣地が破られたら先ず弓を撃ち、その後に槍で突け、決して深追いはせず、陣地を修復せよetc...小官が昔居た自衛隊でもそうですが、ついつい根性論に走りがちな「弱兵への対処」500年前の武将が考慮しているとは流石です。田中芳樹じゃありませんが、強兵を前提に戦略を立てると必ず破綻しますよ、と。

■甲冑の着方
 横から着るとは知らなかったw

■槍稽古「川打ち」
 川面をみんなで一斉に叩くなんて訓練があったのか。しかも、八王子千人同心もやってたとか。なるほど。

■槍衾の組み方
 防御時は単に前方に突き出すだけじゃなくて、Xに交差させて相手の浸透も防ぐのか。なるほど、これなら如何に大剛の武者でも突破は出来まいて……。

 以上、上田氏のイラストと相俟って非常に面白かったです。
 また堅い話ばかりでは無く、李成桂と戦った倭寇の阿只抜都のエピソード等、面白話を盛り込んで繋ぐ辺りもなかなか。この辺の手並みは、矢張り小説家兼業ならではと云う感じで好感が持てました。
【総評】:ワナビー必携の一冊。これさえ持っていれば、徴集した市民兵を率いて城外に一週間潜伏して「伏兵でござい」なんてほざくアホな小説家にはならない筈……多分。評価は☆☆☆☆★。
<追記>
 とまぁ、内容的には満足すべきものだったのですが、些か思想臭がしてしまう部分もちらほら(無論それによって内容が損なわれる事は無いのですが……)

 例えば文永の役での日本軍の戦いを「古風な戦法」と思いっきり腐してますが、その古風な戦い方で副将劉復亨に矢傷を負わせ、陸上での夜営を断念させて船に押し込み、撤退を決意させたわけですから、それほど卑屈にならんでも良さそうな。神風神話に引っ張られるなんて、東郷センセらしくないですぞ。

 また、後書きで日本兵と足軽を比較して殆ど変わらないとか云っちゃうのも、やや行き過ぎのような。
 確かに38式歩兵銃は見た目は古風ですが有効射程は1000m有って到底火縄銃と同じとは云えず、主武器の性能が違えば戦術も違い、ww1の教訓に則った傘型行軍>浸透突破戦術etc足軽には出来ない戦術を使用しています。また「足軽同然の日本軍の蛮行」だってどれほどが本当なのかはこれからの調査を待たなければならない部分が多いのに……いやホントどうしちゃったんですか、東郷センセ?
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



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