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則天武后と玄宗皇帝 2007.05.21.PHP研究所刊、PHP文庫所収。著:岡本好古。

粗筋──
 唐の三代皇帝・高宗の側室・武照は、謀略を駆使して寵妃と皇后を追い出し、皇后となる。武照の野心は更に肥大し、遂には唐を簒奪して周を建設した。
 武后死後、今度は韋后が政治を引き継ぐが、武后ほどの知力を持たない彼女は失政を繰り返してしまう。唐王朝の命運が旦夕に迫る中、皇族の生き残りである李隆基、後の玄宗皇帝が立ち上がり、皇位を継承するのであった。

 1993年の「青龍の門」の文庫版。

 最近のウーマンリブ運動のお陰を以ってか、則天武后を見直す立場から描かれた伝記はそれなりに出回っているラノベまであるよw)のですが、彼女の晩年の失政と、後継者・韋后の乱脈玄宗の若き日のクーデターを描いた作品は珍しく、なかなか面白かったです。
 登場人物は殆ど皇帝と皇族のみで、多彩とはとても云えませんが、その分流れを掴むのは容易く、最後まで安心して読み進められました。特に一般には暗君で通っている玄宗皇帝名君として描いたり、宦官である高力士ちょっと異様だけど凄いヤツとして描いた辺りはなかなか面白かったです。

 ぶっちゃけ、作者の岡本センセは余り独創的な作家とは云い難いです。メジャーな人物を手堅く纏める事は上手でも、思わず引き込まれるような魅力の有る文章を書ける人ではありません。正直、小官の中での扱いは「PHP文庫専用の量産型小説家」で、文章力は童門レベルと見ています。
 但し、今回の「則天武后と玄宗皇帝」では、盛唐時代と言う馴染みの薄いジャンルだけにその平凡さ、読み易さが有り難く感じられました。作者の平易な文章を書く能力はこうしたマイナーな時代を書く事にこそ向いていると思うので、是非こっちの方向で頑張って頂きたいです。作者自身も「この時代が一番書きたかった」って云ってる位だし……編集の意向やら出版社の方針やらで難しいでしょうけど、折角韓信から日本海海戦まで「良くぞ此処まで」と呆れる感心する程広いジャンルをやって来たんですから、そろそろ自分の書きたい時代を書かせて貰っても良いんじゃないでしょうか、ねぇ。
【総評】:小説としての面白さは並程度、但し三国志・史記・陳ワールドに武侠と中国ものを一通り読み終わった方にとってはちょいと変わった「珍味」かも。評価はその辺も勘案して☆☆☆★★です。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌



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