生きてるだけで精一杯。
SS戦闘記録
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 H24.4.20.祥伝社刊、祥伝社文庫所収。小前亮著。
 以前刊行された「王道の樹」の改題だそうですが……うーん、そのままの方が良いタイトルのような。まぁ、内容が分からないから売れないかも知れませんがw

 内容は、タイトルの通り。謝玄主人公の小説(小説十八史略の中だったかなぁ…うろ覚えスマソ)なら読んだこともあるんですが、苻堅主役ってのは珍しいですね。なんせ遊牧民族国家が漢民族の国家に侵略して負けた話ですからw
 読んでみると、余り良く知らない時代だけに何が起こるのか分からずドキドキ読み進められて良かったです。ただ、主人公に感情移入しづらくちょっと読みづらかったですが。尤も、その分脇役が個性的で、面白く無い訳じゃないんですが。個人的には、そういう脇役が光る話は世間的に既に流通しきった三国志や水滸伝でやるべきで、マイナーな時代でやられると視点がブレるんで余り好きじゃないです。

 あと、解説がひでえw
 苻堅の理想主義・多民族主義を褒めて「現代にも通づる、作者もそれを言いたかったんや!!」みたいな事を言ってますが、作中に登場する庶民夫婦や、多分作者が一番贔屓にしてる超カッコイイ慕容垂の発言から見るに、それはねーだろとw  寧ろ、「やっぱり現実主義には勝てなかったよ!(アヘ顔ダブルピース)」じゃなかろうかwww 帯の煽り文句で「縄田一男も『涙が止まらない』と絶賛!」とか言ってたけど、お前本当に読んだのかと突っ込みたいです。
ちなみに解説者の縄田一男氏は、昭和の半ばくらいからずーっと時代小説や歴史小説の解説や紹介を書いてるベテラン批評家……の筈なんですけど、どうも古い小説の解説は得意でも、新人作家の評価は難しいようで。批評家も代替わりが欲しいところですなw
【総評】:大絶賛ってほどじゃないですが、普通に面白かったです。前に読んだ作品よりは、色々改善されてますしね。今後ちょっと追い掛けてみようかと思います。

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 田中芳樹が自分の小説の中で何度も取り上げたお陰で、知名度だけはぐいぐい上昇した美形将軍・蘭陵王高長恭の小説が遂にキター!
 と思いきや、内容はイマイチ。冒頭のシーンとか、いきなり登場人物がズラズラ横一線に出てきて自分の立場を述べたり、主人公とヒロインが幻想的な中で出会ったり、京劇を意識してるんだろうなぁと言うのは分かるんだけど、日本じゃ流行らないと思いますよ、そういうコテコテなの。
 登場人物も狂言回しの仙人の弟子だけが活躍し、配下の武将や同僚の将軍も非常に平板。銀英伝で見せたあの群像劇は一体何だったのかとがっくりするばかりです。戦略・戦術もそんな凄い話じゃなくて、蘭陵王がちょいと捻れば敵の兵隊がバタバタ倒れて大将は速攻死亡と言う芸の無い展開ですし。なんだかなぁ。

【総評】:どうも物語が平板。もっと話や脇役どもを膨らませて三冊書くか、或いは蘭陵王以外にも南北朝時代の面白いキャラを並べて短篇集にして、蘭陵王は飽くまで表題作扱いにするか……もっと最初のコンセプトデザインの段階から「この作品を頭の先から尻尾までアンコ一杯の面白い作品にしてやるぜ!」と言う熱意を持って取り組んで頂きたいです。作家が悪いのか、編集が悪いのかは知りませんが。

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 戦国時代研究に軍事学の視座を持ち込む、と言う着眼は面白いと思う。と言うか、面白いが故に誰でも思いつきそうだし、それでも誰もやってないって事は相当大変なんだろうなぁ……自分も中国史に軍事学持ち込もうとして爆死したしwww 20世紀半ばのヨーロッパでも、歴史学者が「軍事史やります!(キリッ」って言ったら師匠に絶縁されそうになって、慌てて「べ、別に右翼になるわけじゃないです! 心は飽くまで共産主義者です!!(意訳)」とか手紙を送って陳弁に務めたとか何とか。虚覚えですが。
 まぁ、そんな中でも一冊の本を出した筆者の努力はなかなか他人には計り知れない物があるのだろうと拝察し、先ずは賛辞を送りたい。

 で、内容は北条氏の関東支配を資料としながら、戦国大名の軍制は個別の領主が個別の雑兵を率いて小型の戦闘団を作って戦ったという従来の見方を否定し、戦時には個別の雑兵はそれぞれ騎兵は向こうに集まれ、弓兵はあっちの旗の下に行け、槍兵はこっちと兵種毎に分割・再編成していたと主張する。このくだりは非常に面白く、説得力にも満ちていた。北条軍を旧弊な軍隊と馬鹿にする人は、目ん玉ひん剥いてよーく読んどくようにw

 しかし、その後がちょっと頂けない。
 本書では後半は「そうやって近代化した北条氏や東国の諸大名がどうして織田・徳川・豊臣の近畿政権に負けたのか?」と言う話になるのだが、その理由は「戦いまくって指揮官クラスがバタバタ死に、それを抜擢しまくりで補充した結果、いつの間にか精強な部隊になってました(てへぺろ」って……いや、その「戦いまくって」を可能にした理由とかシステムを知りたいんですがwww 近畿の経済力です、と言うのが多分一番しっくり来るんだろうけど、それじゃ東国で「先進的な」土地システムや軍制を作っていた北条氏は、結果として全然先進的でもないし有能でも無くなってしまいます。冒頭であんなに熱心に研究してたのにwwwひでえwwwww
 まぁ、このへんは今後の研究課題なのかも知れませんので、此れを以って本作にダメ出しはしませんが。

【総評】:当時の軍隊の実像が見えてくる、いい一冊だったと思います。戦国大名軍隊における「武士」の在り方に、部隊指揮官と精鋭部隊の兵士と言う2つの道があり、これは矛盾するものではなく別個に屹立していると言う話とか、ホント面白かったですし。歴史ワナビーは是非手元に置いておいて欲しい一冊です。

 ……べ、別に贔屓の北条氏が多く取り上げられているから言ってるわけじゃないですよ?(ぉ

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 前の記事で、「続きが出るなら高評価」なんて書いちゃったけど、実際に出てみると…うーん。
 折角北条というマイナーテーマを取り上げて、しかもエンターテイメントとして充実していたので期待していたのですが、結局謙信と信玄と川中島かぁと思うと、ちょっと残念です。なんだよ! 結局メジャーに逆戻りかよ!! みたいなw
 文章は読みやすいし、登場人物もキャラが立っていて詰まらなくはないので歴史小説としては傑作の部類に入ると思うんですが、北条の物語が読みたかった自分としては余り高く評価出来ないです。
評価:☆☆☆★★

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 2011.04.30.バベルプレス刊。ブルース・キャットン著、益田育彦訳、中島順監訳。
 日本では珍しい、ちゃんとした南北戦争通史。

 最初はてっきり、日本で良く有る南北戦争通史らしく、経済的要因や政治的経過ばかりを取り上げた退屈な本だとばかり思っていたのですが、読んでみれば各戦線の動きもきちんと書いてあり、戦争全体の流れを把握するのに丁度よい本でした。面白いエピソードも拾ってくれてますし、これから南北戦争を学ぶ人が読んでも、ある程度予備知識のある人が読んでも楽しめると思います。かく言う私も、アナコンダ・プランが「ノロマな蛇みたいな鈍重な作戦プラン」を嘲笑うアダ名だったなんて、この本で初めて知りましたしw

 ただ、地図が本文中ではなくカバー裏に有るので、電車で通勤の合間に読んでいた自分としては非常に見辛かったです。出来れば文中にも地図を入れて欲しかったです。例外的にp.233には南軍の最終的な状態が描かれているのですが、視覚的に分かり易く非常に面白かったです。海への進軍超こええwwwwwww こんな地図がもう少し、せめて章毎に欲しかったです。
 また、最後の人名辞典は帯に短し襷に長しの感有りですね。本文中では登場人物に関する紹介が殆ど無く、南北戦争に馴染みの薄い日本人には分かり難かろうと思って巻末に付けてくれたんでしょうけど、一人当たり数行ではどうにも焼け石に水です。画像は豊富で、面白かったんですが。

 とまぁ、色々文句を付けてしまいましたが、この時代の、しかも軍事面に多くを割いた通史が出るなんて奇跡に近い事なので、それだけでも大満足ではあります。値段も1600円と格安ですし。NHKのシリーズ南北戦争が見られない今、南北戦争ファンの基本の一冊と言えると思います。迷ってる方が居られましたら、何としても抑えておくべきです。

評価:☆☆☆☆★

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